「線とは何か?」を考え直すこと、これがデッサンの始まりと言えます。我々がマンガや絵で、子どもの頃から慣れ親しんでいる「線」ですが、実は現実世界には「線」というものは存在しません。物の境目=アウトラインがあるだけなのです。それを簡略化して、「線で表現している」ということになるのです。「そんなのは当たり前だ。」と思われるかもしれませんが、デッサンに少し慣れてきたときに改めて、そのことに気付く方が多いようです。

幼少期は「丸に点3つ」で顔と認識する、見えたものから始まる認識です。デッサンでは、「骨→肉→服など」と意識しながら、線を描きます。見えたものだけではなく、構造も認識して「線」にするのです。しかし普段我々は、そのような見方はしていません。大概、線で形を描いて、その中を塗る。マンガを描いている人が特にそうなります。妻がその典型!長年マンガを描いているから、ばっちり脳に刻み込まれていて、デッサンの「骨→肉→服」が出来なくて苦労しました。この捉え方の変化は、認識の大転換、パラダイムシフトなのです。初心者の方も同様、これになかなか慣れなくて大変な目に会う。図工の時間、当たり前に線しか描いて来なかったから、それはそうだと思いますが。

マニュアル本には、必ず「骨や肉を意識しよう。」と記述されていますが、覚えたところで描けるものではない。片や、少年時代の手塚治虫や南方熊楠は、習いもしないのに驚くべき細密描写を描いています。いやになりますね。これはなんだ?=興味が、これは面白い=「観察」、なるほどそうか!=「思考」となっていって、ちゃんと描ける。マニュアルだ、アウトラインだ!中身だ!という以前の、描き手の意識の問題、奥深いです。

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