観察すると、思考が呼び覚まされるということがあります。外を見つめていると、自分を見つめることにもなる。意外に思われるかも知れませんが、反対の働きも連動して起こってくる。集中して描いていると、唐突に昔のことが思い出されたりします。
例えば、良からぬことを考えると悪魔が出てきて、これを阻止しようと天使も出てきて、頭の左右でケンカを始める、というマンガのシーンがあります。もし、悪いことを考えない、または、悪いと思わないと、天使どころか悪魔も出てこないでしょう。意識のメカニズムは不思議です。

「上手く描くために、どうしたらいいだろう?」これが出発点です。我々は、細い鉛筆の先で少しずつ描いていくしかない、写真のように全部一気に描くことは不可能です。ではどう描き進めるか?形や色、光、陰、質感、その他要素を分解し対象化する、という方法が採られます。要素をそれぞれ分解し、部分同士を比較し、要素をまた組み立て、修正し、また再統合させます。

更に「ここは暗く見えるけれど、他と見比べてみようか?」とか「先に描くのはここだろうか?」と、自問自答が終了まで続きます。デッサンは感覚を自由に羽ばたかせる、というよりは、合理的に理性的に組み立てていくという印象があります。「描く」ために、自然に思考が引き出されるのです。

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